巡礼宿浄という名前について

「巡礼宿浄」という名前ですが、ご住職のお話を聞いてこの名前がいいと思いました。

 

ご住職は清蔵寺の由縁についてご紹介くださったのですが、

清蔵寺は「小口村の西に在り、村の西方の極楽浄土として法の燈」であるとのこと。

 

小口という集落はいくつかの地区に分かれているのですが、清蔵寺のある地区は西地区になります。

清蔵寺をお参りするということは、西方浄土に向かってお祈りすることにもなります。

 

また熊野古道の巡礼の歴史においても、この浄土信仰は大変な影響があり、

平安から鎌倉期、頃の浄土信仰と熊野参詣が結びつき、「蟻の熊野詣」になりました。

熊野に行くことが浄土へつながると考えたようです。

 

このことから、浄土を目指し、熊野を巡礼した昔人と、この清蔵寺をお参りする方々と、

どこか通じるものがあるのではないかという思いで巡礼宿の名前に「浄」を頂くことにいたしました。

 

現在熊野古道を歩くお客様は多くの方が外国人観光客です。

そのため、「浄」を同じような発音で親しみやすく「Joe」にして

巡礼者を表す「Pilgrims」、巡礼のジョーという翻訳をしています。

 

もしこの宿を目指す外国人が「ジョー」と言っていたら、ご連絡ください。

 

 

ちなみに、このことを外国人の方にも説明しようと思って

浄土信仰について英語でどんな風に解説しているのか調べました。

 

「Pure Land Buddhism」という訳で説明していました。

私の感覚ではPureというのは純粋なもの、汚れなきものといったイメージです。

 

しかし「浄」というのは争う(あらそう)という漢字にサンズイをつけてます。

争う気持ちを水で洗い清めるイメージなんだと思います。

 

なら「Wash Land」でいいのではと思うのですが、実は以前、前のゲストハウスを営業している時に

「貴方は(東京出身なのに)なぜ熊野に住んでいるの?」と英語で聞かれたことがよくあります。

その時、冗談で「僕はこの熊野というところはいい所だと何度も聞かされ、洗脳されてここに来ました」

と返答したことを思い出しました。

 

洗脳という言葉は英語から来ていて、「brainwashing」を翻訳した言葉です。

ですので洗う(wash)という表現を使うと、その人のアイデンティティや人格の根本から

洗い流してしまうイメージになってしまうのです。

 

そこでpureという言葉を選んだのだと思います。

 

他にいい言葉がないかなといろいろ考えたんですが、思い出したのはフリスクの宣伝。

「Sharpens you up」

Sharpenは研ぐという意味です。

sharpens you upは「あなたを研ぎ澄ます」みたいなイメージだと思います。

 

無駄なものをそぎ落とす感じがしますよね。

 

こういうことを当てどなく考えてしまうのが好きです。

先日、ご住職から「マインドフルネスというのはとどのつまり、禅なのだ」という話を聞きました。

言葉一つで付帯するイメージが変わる、増えることはいいことですが、

複雑になり、人にうまく伝わらなくなることもありますね。

 

特に精神世界の抽象的な文言は、その文化的背景まで理解する必要があり、気を付けなければなりませんね。

 

その意味でこの度「巡礼宿 浄」という名前を付けましたが、

シンプルに「巡礼をする人をお迎えする宿」という意味で巡礼宿とつけています。

特に資格が必要なこともありませんし、巡礼の証明するものが必要なわけでもありません。

 

巡礼しなくてもいいです。

でも、巡礼する方を前提とした宿となっております。

チェックアウトも早いですし、他の目的でお泊り頂いた方に、ご不満を抱くこともあるかもしれません。

その点はご理解いただいた上でお過ごしいただけましたら幸いです。