熊野古道の道としての変遷

熊野古道というのは、当然昔から熊野古道ではありません。

元々は熊野御幸というのが巡礼の始まりになっていますが、

熊野の霊場は元々自然崇拝で地元の災害など様々な将来の不安から守ってもらう依り代なので、

近場から段々遠方の方もお参りするようになったわけです。

 

熊野へ行き来する道は、恐らく最初は山をかき分け入って行ったとき、獣道を切り開いて道を作っていきました。山道は最初は尾根沿いに渡っていくものだそうです。

道ができると、歩き旅ですから休憩する所がぽつぽつ出てきます。

 

道沿いに水利があると、そこに集落ができるようになります。

 集落は道から麓の方に拡がります。水を確保しやすいのは尾根ではなく麓の方だからです。

そうすると、段々道もふもとの方が使いやすい道になっていきます。

 

雑な展開ですが、熊野古道で道を見ていると、上記のような想像ができるんです。

今の熊野古道は山の尾根近くにありますが、もともとはもっと頂上に近かったかもしれません。

 

そして、明治あたりでしょうか、車道を作るために国道が整備されます。

今の国道は約30年前にできたもので、その前にあった国道は、今の集落の真ん中あたりを走る舗装された道になります。所々熊野古道と合流しますが、概ね古道の麓側です。

 

今の国道はそのさらに麓を走っています。

古道が一番上にあって、その下に旧国道、そのさらに下に現在の国道があるわけです。

 

熊野古道中辺路が現在トレッキングの道として人気があるのは、この山岳ならではの事情で古道が舗装されなく、トレッキングに最適な状態を保っていることにあると言えます。