①熊野古道の世界遺産登録

とても大仰な題ですが、実際に熊野古道が世界遺産であることはご存じでしょうか?

世界遺産としては「紀伊山地の霊場と参詣道」という物です。

霊場というのは熊野三山と高野山、金峯山寺、玉置神社などを指します。

伊勢神宮は入っていません。

 

世界遺産の保存方法には基準があり、式年遷宮はその基準に合わせると不都合があるのではないかと思います。

登録範囲としては三重県、奈良県、和歌山県と広範囲にわたる「道」と「霊場」の世界遺産です。

 

世界遺産登録に当たっては様々な方が運動されました。よくまとまったなぁと個人的には思います。それは先に述べた熊野古道の歴史の様々な面があるからです。

それは自治体の反応も様々でした。

 

奈良県はこの「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成遺産を含めて3つの世界遺産があり、構成資産としては16件もの遺産があります。これは全国1位だそうです。

そのためなのか、世界遺産にたいするプロモーションや県の姿勢は他県に比べて受動的な所があると思います。題して「山のように静かな奈良県」

 

三重県の世界遺産はこの熊野古道だけですが、三重県の観光資源としては、やはり伊勢神宮と志摩などその周辺地域が強く、三重県の熊野古道伊勢路は既存の観光業界とリンクしていないため、プロモーションにかける予算が限定的で学術的な活動がどうしても多くなる印象です。

題して「頭でっかちな三重県」

 

和歌山県の世界遺産もこの熊野古道だけなんですが、登録資産がある高野山や本宮大社、那智勝浦など、観光目的地となる霊場と温泉地が多いため、既存の観光業界との利害が一致しており、プロモーション活動に非常に積極的です。

題して「ノリノリ和歌山県」

 

こんな背景があるんだなぁと思っていただくと熊野古道に対する見方も一層面白くなるのではないでしょうか?(こんなことに興味を持つ人がいるのかわかりませんが)

 

熊野古道の歴史を紐解いてきた通り、過去の歴史もそうですが、文化が継承されるためには、そこに経済が必要です。熊野古道もそうです。人は霊場に何かを求めて歩き、ご飯を食べ、宿泊し、寄付します。記念のお土産を持って帰ります。このお金が熊野古道を蘇らせるのです。

 

道も同じです。人が歩く所に道ができ、歩き続けることで道は自然に還らず、道であり続けます。

歩く人がいるから、道を普請しなおすのです。

コロナ禍で歩く人が減った時、集落の近くにクマが目撃されるようになりました。

人が歩くからこそ、鳥獣も道が人間の領分であることに気付くのです。